最新イベント情報
英国美術活動カンファレンス
東京藝術大学との国際交流がスタート
日本現代テキスタイル・アート展
瀧富士国際美術賞




英国美術活動カンファレンスが開催されました。(2003.10.29)

「Showcase of British Art, Design and Media research practice〜イギリスのアート・デザイン&メディア研究〜」と題してリサーチ・カンファレンスを開催しました。 大学より研究スタッフが参加し、研究活動の事例紹介をもとにイギリス・アート研究の現在と今後の展望について講演。



東京藝術大学との国際交流がスタート

UCA芸術大学は、大学全体で常に国際交流の発展に力を注いでいます。2002年5月に、東京藝術大学との交流を締結し、両校の学生はもちろん、教官も含めた教育研究協力を行うことになりました。今後も両校の、そして日英の芸術に関する教育と研究の一層の向上と発展を目指し、シンポジウムの開催やあらゆるイベントの企画・実行を通じて交流を深めていきたいと考えています。以下、東京藝術大学美術学部長、宮田教授から両校の提携に関して一言お寄せいただきましたので、ご紹介いたします。


この度、UCA芸術大学との間で、芸術に関する交流及び教育研究協力を行うことに合意し、協定を締結したことは、両校の芸術に関する教育・研究の一層の向上と発展を確信している次第です。
これを契機に教官及び学生の交流を積極的に行い、情報等を交換し、本学の活性化を図りたいと考えております。また、日英両国の更なる親善と友好を深める有意義な機会になることを期待して止みません。
東京藝術大学美術学部長 宮 田 亮 平





TEXTURAL SPACE : 日本現代テキスタイル・アート展

《テクスチュラル・スペース》は、ユニバーシティ・カレッジのUCA芸術大学の企画による作品展です。インスティテュートではとりわけ日本とのリンクの強化に努めてきました。すでに何年にもわたって沖縄県立芸術大学と活発な大学院交流プログラムを実施しています。また名古屋には日本代表事務所が設置されています。
デザイン部門のテキスタイル・プログラムでは、世界のテキスタイルをテーマとした文化的展示会あるいは現代作品展の企画に実績を残してきました。最近では中国のマイオ、テリア・ルマル(インド)の二重絣の作品展などを開催しています。

デザイン部門にはまた、テキスタイルや陶芸の貴重なコレクション(リー、リーチ)など20世紀の代表作品を収蔵するクラフト・スタディ・センターも併設されています。
現在同スタディ・センターは新館へ移転中ですが、そのコレクションを通して、日本との関わりも深いものとなっています。

《テクスチュラル・スペース》のキュレーターであるレスリー・ミラーは、現在インスティテュートで研究員および講師を務めています。最近、アーツ&ヒューマニティ・リサーチ・ボードと大和日英基金の共同による二つの研究奨学金のひとつを獲得しました。
2001年9月から3年間のフェローシップ期間中、レスリー・ミラーはインスティテュート内に日英のアイディア交換、著作、展覧会など諸活動の焦点となる「日英テキスタイル研究センター」を設立することになっています。
今回の抜擢は両国テキスタイル・アーティストの共同活動への彼女のこれまでの取り組みが認められた結果ですが、今後は、英国の若手テキスタイル・アーティストと日本のベテラン・アーティスト、またその逆の組み合わせで、指導制度を企画していくことも意図されています。

現代日本を代表する12人のテキスタイル・アーティストが出展する《テクスチュラル・スペース》は英国全国を巡回します。
作品のほとんどはこの展覧会のために特に制作されており、英国でまったく新しい作品を見る機会となります。作品展はまずUCA芸術大学のギャラリーで2001年4月にオープンしますが、時期を同じくしてブライトン・ミュージアム&アートギャラリー、メイドストーン図書館ギャラリー、ロチェスター・アートギャラリーでも関連イベントが行われます。
その後《テクスチュラル・スペース》は、マンチェスター大学のウィットワース・アートギャラリー、イースト・アングリア大学のセインズベリ・センターなど一流展示会場を巡回、さらに2002年4月からはロンドンのザンドラ・ローズ財団の新しいファッション&テキスタイル博物館で最後の展覧会が行われます。

《テクスチュラル・スペース》は、アーツ・カウンシル・オブ・イングランド、サウス・イースト・アーツ、「ジャパン2001」(英国日本年)の後援を得て実現したもので、「ジャパン2001」から最初に資金供与を受けた少数のプロジェクトのひとつとなりました。「ジャパン2001」はこの1年間を通して英国中の博物館、美術館、大学などを会場に行われる日本関連のイベント・シリーズ。《テクスチュラル・スペース》はそのオープニングを飾ります。

この作品展の規模、出展作品それぞれのサイズから、オープニングは4つの会場で行われます。各会場は、作品の複雑な構成や素材の多様性を考慮した上で、異なる焦点それぞれに合わせて選ばれました。

UCA芸術大学では作品展に合わせ、この分野の権威であるカワシマ・ケイコ氏、出展者のコバヤシ・ナオミ氏らを迎えて、アーティスト、デザイナー、建築家が空間におけるフォルムへの理解、とりわけ空間におけるテキスタイルの役割への理解をどのように引き出すかをテーマに、シンポジウムを開催しました。

《テクスチュラル・スペース》の成功を祝して、東京で記念レセプションが開かれました。会場では代表作品写真の展示、林貞行在英大使を迎えての同展オープニングの模様を伝えるビデオ上映が行われました。
《テクスチュラル・スペース》開催にあたっては、さらに次のような機関からご協力・ご支援をいただきました。
クラフツ・カウンシル・オブ・イングランド、英国笹川財団、大和日英基金、ブライトン・フェスティバル、サウス・イースト・アーツ、ケント・カウンティ・カウンシル・アーツ&ライブラリーズ、全日空


瀧富士国際美術賞

「英国に於けるアート及びデザイン教育について」

第22回 「瀧富士国際美術賞」受賞記念講演

イアン デュムロウ(Ian Dumelow)
2001年10月20日

まず初めに、私とカドリ氏(Mr.Kadri)は、本日、ここに列席できますことを、大変嬉しく存じております。また、 私たちが、第22回「瀧富士国際美術賞」を頂くことになりまして、大変光栄に思っております。 この機会に、英国に於ける、「アート及びデザイン教育」の現状について、少しお話申し上げたいと思います。

現在、「アート及びデザイン」の高等教育は、大変活気に満ちており、更に日々急速な変化を続けております。 英国に於ける「アート及びデザイン」の教育機関としては、全て公的な資金助成を受けている、約85の大学があり、在学生に学位を与え、研究科の講座を設けています。本年度は、「アート及びデザイン」を、学位レベルで学ぶ学生は、5万人を超え、その準備も進んでおります。

大学外でも、「アート及びデザイン」は、高い関心を集めております。 最近、いくつかの大型の美術館がオープンしており、その中には、ロンドンの「テート・モダン」も含まれます。 政府は、「アート及びデザイン」が、英国経済にもたらす価値を、現在、年間で、
1250億ポンド以上であると見積もっています。 勿論、「アート及びデザイン」を、
経済的側面から評価することは、それよりはるかに重要な文化的価値を軽視することになります。「アート及びデザイン」は、我々の文化的な価値観の表現に於いて、重要な役割をもっており、急速に変化しつつある世界に於て、新しい表現方法や、視覚的表現の独自性や関わりを追求する目標を持っています。

それでは、「メディアとデザイン」及び、「クラフト(工芸)」、そして、将来の関連テーマについて、お話したいと思います。

英国に於ける、近年の最も重大な変化は、他国と同様に、テクノロジーの進展が引き起こす影響、すなわち、インターネットのためのデザイン、及び、教育と仕事の場に於ける、
コンピューターの使用であります。これにより、「コンピューター・ネットワークを介した」学科が急速に増加し、その他の分野での調整も進みました。 コンピューターは、「インテリア・デザイン」や、「グラフィック・デザイン」その他の分野で、万国共通の創作活動の手段となりました。 アニメーション、映画、ビデオ、グラフィック・デザイン、写真、
美術などでは、それぞれに固有の創作活動がありますが、現在では、共有の場で、制作と表現を行なっています。 このような共有関係により、以前は別個であった学科に於ける、
共通の立場を表すため、色々な表現方法を試みる、まぎらわしい講座タイトルの羅列が見られます。 例えば、講座タイトルとして、「レンズをベースにもつメディア」(lens-based
media), 「タイムをベースにもつメディア」(time-based media)、「美術とメディア」、
「ニューメディア」などがあります。

インターネットとその他の通信技術は、我々の大学に於ける、学科の編成を変えたばかりでなく、更に、新しい商品とサービス、新しいユーザー・インターフェース、及び、電子商取引を含む新しい産業構造を生み出しました。 これらの変化は、アーチスト及びデザイナーの仕事の範囲を大幅に変えたばかりでなく、個々のアーチスト、デザイナー、及び、
クリエイティブなビジネスが、直接、ウェブ・ネットワークにアクセスすることを可能にしました。

工芸教育は、主として、陶芸、ガラス制作、金属細工と宝石貴金属細工、及びテキスタイル(織物)などの分野で、従来から大変人気があります。 これらの講座は、学校に於けるさまざまな材料を加工して物を作る授業が減っている為、特に需要が大きいのです。

物を作ることを通して学ぶこと、物を作ることの重要性、個人的な私的な意味のある物へのニーズは、近年、一層、重要になってきていると、私には、思われます。 それは、その他の商品が、一般に、エレクトロニクス産業による消耗品になっているからです。

英国に於ける、パブリック・アートの創作の分野での、アーチストや工芸家の役割は、まだ微々たるものです。 情報をもつ公共団体は、個々のデザイナーに依頼していますが、アーチスト及びデザイナーが、特定の環境に対して為しえる貢献が、より広く認識され、評価されるような状況を作り出すため、一層努力する必要があります。 情報をもつ建築事業はいくつかありますが、通常、建築家は、原材料の効果的な使用法に関心を持ちながら、
アーチスト及び工芸家を、ビルディングや公共建築計画に於いて、末梢的な、ないし細部を扱う役割にしか、活用していません。 このような状況のため、「瀧富士国際美術賞」のような賞を授与されることによる励ましは、大変貴重なことなのであります。

過去35年間に、全く変化しなかったことが、二つあります。 英国の方式は、以前から、いわゆる概念芸術の考え方に基づき、概念を主要な動機付けとするアプローチ(研究法)をとり、視覚的課題を解明することにあります。 また、独自性を重視し、すべての学生が、
学科が何であれ、彼ら自身の固有の表現方法と、彼ら自身の視覚的な表現手段を見つけ出すことに重点を置いています。

我々はまた、学生たちが大学卒業後、生涯の仕事を通じて、どのようにキャリア形成を行なってゆくのかに関心を持っており、我々が、大学側として、この点や、我々の学問領域の、広い文化的活動に於いて、我々の果たす役割についても、考えています。

英国に於ける、新規の、ないし既存のクリエイティブな事業に対しては、ヨーロッパではオランダやその他の国々ではあるのですが、国家の直接的な援助は殆どありません。 また、「アート及びデザイン」が、かなり高い割合で自営業であり、従業員が一人から五人くらいの、何千もの、小規模のクリエイティブなビジネスから成り立っているため、公式な、確定したデータは、ほとんどありません。 このような小規模ビジネス、すなわち、グラフィック・コンサルタント会社、コンピューター・ゲーム会社、工芸ビジネス、制作会社などの特徴が、卒業生に彼らの望むクリエイティブ活動の機会をあたえるようで、このことは、ビジネスの発展よりも評価されています。

これまでに我々は、いわゆる「クリエイティブ産業」についてかなりの調査を行なってきましたが、更に調査する必要があると思っています。 卒業生の中には、新しいユニークな仕事のパターンを作り出している者が居り、職業を一つ選択するよりも、同時にいくつかのプロジェクトで仕事をしています。 例えば、卒業生の宝石商は、二人の従業員を雇って小さい小売店を持ち、他のグループの友人と一緒にポップビデオを制作し、ファッションのデザインも行なっています。 二年前、我々は、二千人の卒業生の統計調査を行い、彼らのキャリア形成と、彼らの直面した問題について調べました。この調査で、個々の分野の卒業生の仕事の希望について貴重な理解を得ることが出来ました。

我々は、また、「アート及びデザイン」についての研究に関して、政府の資金援助のために、現在、議論を行なっています。 そのため、「アート及びデザイン」の研究活動とは何か、について、また、他の分野に於ける従来の伝統的な研究方式に比べてどうか、について、
熱心に議論を行なっています。現在、専門的なデザイン業務、及び他の形の、例えば、美術展のような、私的な美術活動は、研究活動と考えられており、これが、我々の受ける資金援助に反映されるので、大学のスタッフの間で、より専門的な仕事を行なう励みとなりましたが、また、研究活動と教育活動とのバランスを少し変化させました。

「アート及びデザイン」の高等教育の発展により、学科の範囲も広がりました。現在、「デザイン・マネジメント」、「アート・アドミニストレーション」、及び、かつては「ビジネススクール」の領域として考えられていた関連科目について、重要な準備対策が行なわれています。デザインが、企業組織の中で果たす役割の重要性が、益々認識されつつあり、同様に、デザインを理解し、マネジメントのレベルで明確に表現することの出来る専門家への必要性が認められつつあります。 「プロダクト・デザイン」、「ファッション・デザイン」、
「インテリア・デザイン」、「広告」や、サービス部門や、デザインの大規模なコンサルタント会社などの分野で、デザイン・マネジメントの業務が、長年にわたって確立されています。若い卒業生たちが、これらの役割を担うのは、新しい進展です。

我々は又、新しい講座として、「環境の維持可能性のあるデザイン」、及び「デザイン倫理」の準備対策を始めています。 今日、我々は、余りにも多くの物を製造して浪費しており、
デザイナーも、商品の販売の増加に何らかの責任を持っているので、我々は、将来のデザイナーが、エネルギーと材料資源の節約を目指す、責任ある態度を身に付けるよう、さまざまな教育方法を開発する必要があると思います。 この問題には、商品の解体のためのデザイン、総合的なプロダクト・プランニング、及び、国際的に開発の行なわれているさまざまな方策などが含まれます。この問題は、次の十年間にわたり、重要な問題となり、ヨーロッパに於いて増えつつある法的規制の対象となると思われます。

以上、ダイナミックに変化し、多様な要素を持つ分野について、簡単にご紹介いたしました。 私のご説明いたしました概観については、皆様自身のご経験から、充分ご判断いただけるものと存じます。又、このことが、英国と日本の大学に於ける進展状況の比較のヒントになり、有益な情報となりますよう、希望しております。

最後に申し上げたいこととして、私は、「アート及びデザイン」の、将来の大きな発展性の一つは、世界中の美術の大学間で、クリエイティブ活動の国際交流を行い、共同で、研究活動を行なうことであると確信しております。 この点に関して、日本交通文化協会の、
先見の明のある識見に祝意を申し述べたいと思います。 私共が、今年の受賞に参加出来ましたことを、心から嬉しく思っております。